情報バリアフリーJIS素案公開レビューに対するコメント 2003年11月24日 野田 純生 このコメントは「情報バリアフリー 公開レビュー(JIS素案「高齢者・障害者等配慮 設計指針− 情報通信における機器・ソフトウェア・サービス − 第三部:ウェブコンテンツ」の公開レビュー)」 に対するコメントである。 尚、以下の文における引用部分は、同ページからリンクされている ウェブコンテンツ素案(TXT) を元にしている。 素案に対する修正案、追加案及び修正・追加理由を原文の引用とともに記述。 これ以下に送信した電子メールの内容と同じ。 【対象範囲-1-】 6.1 規格や仕様の準拠-a) ウェブコンテンツは,原則として関連する文法,技術の規格や仕様に準拠して作成し なければならない。 【参考】HTML4.01などの標準仕様に完全には準拠していない古いウェブブラウザなど を使用しているユーザを考慮する場合,標準仕様で推奨されていない要素などを意図 的に用いないと,そのようなウェブブラウザに対するアクセシビリティを確保できな い場合がある。しかし逆に,標準仕様に準拠したウェブブラウザに対するアクセシビ リティを損なう危険性もあるので,このような対処法の濫用は慎むべきである。 修正理由 XHTML1.1など、できるだけ最新の勧告を例示したほうが良いのではないか。 あるいはTransitional(過渡的な)バージョンを使うことを推薦して、そのうえで規 格・仕様への準拠を薦めることで「仕様に準拠する」ことがより強い意味を持つこと になる。 修正案 現在の版 HTML4.01などの標準仕様に完全には準拠していない古いウェブブラウザなどを使用し ているユーザを考慮する場合,(以下略) 修正版(A案) XHTML1.1などの標準仕様に完全には準拠していない古いウェブブラウザなどを使用し ているユーザを考慮する場合,(以下略) 修正版(B案) HTML4.01などの標準仕様に完全には準拠していない古いウェブブラウザなどを使用し ているユーザを考慮する場合,標準仕様で推奨されていない要素などを意図的に用い ないと,そのようなウェブブラウザに対するアクセシビリティを確保できない場合が ある。しかし逆に,標準仕様に準拠したウェブブラウザに対するアクセシビリティを 損なう危険性もあるので HTML4.01Transitional(http://www.w3.org/TR/html4/loose.dtd)等に準拠した上 で、非推薦の要素や属性の使用を可能な限り慎むべきである。 【対象範囲-2-】 6.2 構造と表現-e) ページのタイトルには,利用者がページの内容を識別できる名称を付けなければなら ない。 【例】 HTMLの場合は head要素のtitle属性にページ固有名称をつける。 修正理由 誤植だと思われる。 修正案 現在の版 HTMLの場合は head要素のtitle属性にページ固有名称をつける。 修正案 HTMLの場合は head要素内のtitle要素にページ固有名称をつける。 【例】 HTMLの場合は head要素のtitle属性にページ固有名称をつける。 【対象範囲-3-】 6.2 構造と表現-f) フレームの使用は,必要最小限にすることが望ましい。使用する場合は,フレームの 識別が可能なようにタイトルを付与する等,配慮しなければならない。 修正理由 WAIのガイドラインではフレームのかわりにObject要素かCSSを使うよう勧めている。 XHTML1.1以降ではサポートされないため(独自に定義することは可能)、非推薦の要 素について取り上げることは「a) ウェブコンテンツは,原則として関連する文法, 技術の規格や仕様に準拠して」に矛盾してしまうリスクを孕んでいる。 但し、フレームが利用される場面がまだまだ多く、使い方によってアクセシビリティ を大きく低下させてしまうことは事実であり、規格に盛り込むことは意義のあること だと考える。 修正案 ※【例】の追加 【例3】frame要素を使う場合は、noframes要素内に代替情報を付与する。この場合 の代替情報は、frameset要素に含まれるすべてのhtml文書の情報と完全に等価なもの でなければならない。 【対象範囲-4-】 6.2 構造と表現-g) 現在の画面がサイト構造のどこに位置しているか把握できるように,階層などの構造 を示した情報を提供する事が望ましい。 【例2】検索結果など複数ページになっている場合「1 2 3 4 5」のように全ペ ージと現在位置を表示する。(1,2,4及び5にはリンクを示す下線が付いている。) 修正理由 下線がリンクを示すのは多くの視覚系ユーザーエージェントのデフォルト設定におい てそうなるというだけで、音声ブラウザなどでは意味をなさない表現である。 文書の性質上、表現を変えた方が良いと考える。 修正案 現在の版 【例2】検索結果など複数ページになっている場合「1 2 3 4 5」のように全ペ ージと現在位置を表示する。(1,2,4及び5にはリンクを示す下線が付いている。) 修正版 【例2】検索結果など複数ページになっている場合「1 2 3 4 5」のように全ペ ージと現在位置を表示する。(1,2,4及び5はリンクテキストとなっている。) 【対象範囲-5-】 6.3 操作や入力-f) サイト内の基本操作部分は,わかりやすいように同じ位置・表現・表記にすることが 望ましい。 【例2】「戻る」「進む」などのボタンは,同じ形状・色・配置を統一する。 修正理由 「戻る」「進む」はページの前後関係を示す例だと思われるが、ページへのリンク元 が唯一のページ以外では「戻る」という表現が複数のページを指し示すため、例とし ては適切ではないと考えられる。 また「進む」についても場面によってはリンク先を示す明解なテキストではないため、 使用には注意が必要。 修正案 現在の版 【例2】「戻る」「進む」などのボタンは,同じ形状・色・配置を統一する。 修正案 【例2】「ホーム」「お問合せ」「サイトマップ」などのボタンは,同じ形状・色・ 配置を統一する。 【対象範囲-6-】 6.3 操作や入力(追加項目案) 追加理由 「6.9【例】 “Click here!”や“Submit”のように英単語をそのまま表記すると, 利用者によっては理解が困難な場合がある。」とあるが、一つめの例をそのまま日本 語に訳した場合、「ここをクリック!」となる。これは、リンク先が明確に示されて いないという点で非アクセシブルな例でもあり、WAIガイドラインでも「優先度2」と されている。 追加項目案 i) リンクテキストは、その部分を読んだだけでも十分意味のわかるものにする。例 えば「ここをクリック」ではなく「高齢者・障害者等配慮設計指針について」などと する。 【参考】音声ブラウザによっては、リンクテキストを斜め読みできる機能を備えたも のがある。 【対象範囲-7-】 6.9 言語-a) 日本語のページでは外国語の多用はせず,より多くの人に理解できるよ うにすることが望ましい。やむをえず多用する場合は,解説をつけるなど理解のしや すさに配慮しなければならない。 上記6.3と同様の理由で、6.9の例についても修正した方が望ましいと考える。 修正案 現在の版 6.9【例】 “Click here!”や“Submit”のように英単語をそのまま表記すると,利 用者によっては理解が困難な場合がある。 修正版 6.9【例】 “About us”や“Contact”、“Submit”のように英語をそのまま表記す ると,利用者によっては理解が困難な場合がある。 また、6.9 言語において自然言語の明示についての項が無いので追加すべきである と考える。WAIのガイドラインでは「優先度1」とされている。 追加項目案 e) 日本語のページでは言語情報と文字コード情報を正確に指定し、文書中で自然言 語が変わる部分では、それを明示する。 【例】日本語のHTML文書においてはHTML要素のlang属性で第一言語"ja"を指定し、 文字コードをMETA要素によって指定する。また文書中で自然言語が切り替わる部分で は、各要素のlang属性を指定して言語が変わることを明示する。 以上